吹田市津雲台3丁目の「千里津雲台団地」の建て替えが計画されていますが(過去の記事はこちら)、東京建物と東急不動産が参加して、202戸のマンションへの建て替えを行うことが発表されました。
一方で、隣接するマンションの住民などが、千里ニュータウンまちづくり指針の建ぺい率や容積率を超える大規模なマンション建設に反対し、異例ともいえる数の意見書が吹田市に提出されています。
どの団地のこと?
建て替える団地は、下記の場所にあります。千里南公園の北端に面する場所で、南向きに5棟の建物が並んでいます。
府営やOPHといった賃貸の団地は異なり、大阪府住宅供給公社により販売(分譲)された団地です。分譲された団地の建物には「A」と振られており、今回の建て替えでは「千里津雲台A分譲住宅」という表記が出てきます。
どう建て替えられる?
先月発表されたのは、分譲マンションの開発で大手の東京建物と東急不動産が、この団地の建て替えに参加組合員となるという内容です。参加組合員とは、建て替える団地を所有しないが、建て替え後の土地や建物を取得する予定で、建て替えに関わる人や団体を指します。
今回は、マンションの住民(区分所有者)が建替組合を組織して事業を進めようとしていますが、それに参加、実質的には、2社が中心となって進めていくものと思います。
2社の発表時に合わせて公表された外観は上のようなものです。航空写真から見て取れる現状の建物(下図)と比べると、大きくなる印象があります。
それもそのはずで、現状は96戸の建物を202戸のマンションに建て替える上、より広い部屋も設けられます。建物も5階建てから10階建てになります。
何が問題となっている?
団地の建て替えで部屋数が増えるのは、千里ニュータウンで古い団地が建て替えられる際の常套手段です。府営、OPH、分譲を問わず、千里ニュータウンにある5階建て程度の団地は、敷地面積に対して法令で認められている制限よりも小さな建物のことが大半です。
建て替える際に大きな建物にする、もしくは、敷地を区切って小さな土地に建てることで、増えた住戸や余った土地を売却することで、建て替え費用を捻出してきました。
今回もその方式が採用されているのですが、例外ルールを適用して進められています。その1つは容積率に関することです。吹田市の千里ニュータウン内でこのような開発を行う場合、吹田市が定めた「千里ニュータウンのまちづくり指針」に従う必要があります。
この指針に従うと、今回の建て替えエリアで建設できるのは、容積率150%までです。これは土地の面積に対して1.5倍の床面積の建物を建ててよいというもので、マンションにするとおよそ150戸ほどになります。
しかし、今回の計画は202戸。約50戸分がはみ出しています。それを可能にしているのが、この指針の例外で、「区分所有建物の建替えで、高さや壁面後退について隣接するまちなみに配慮する場合」は150%に抑えずに、建築基準法や都市計画法で決まる200%にしてもよいという記載があり、それにあてはめて進められています。
その結果、上に掲載した完成予想図の10階建ての建物を、下記のように西向きに建てる計画が公表されました。
何が問題となっている?
このことについて、近隣の方が反対をしています。今回の建物は、建て替えではあるが、建て替え後に新しい建物に戻らない住民が多いこと、隣接するまちなみに配慮しているとは思い難いことなどが理由です。
実際、反対住民の方のページによると、建て替え後に戻るのは全体の半数ほど、また、敷地に多くの桜が植えられているものの伐採するようです。このような状況で、建て替えを理由にして、まちなみに配慮したと言えるのか?という意見です。
吹田市では、一定以上の規模の開発を行う場合、事前の届け出が必要で、それに対する住民が意見できることになっています。この意見の件数が60件。吹田市のこの制度で集まる意見は、反対されていても多くは20件程度です。マンションが隣接するため、反対する方が多くなるものの、また、内容も重複しているとしても、異例の多さです。
今後の予定は?
現在は、開発計画に対する意見に対する対応が行われている段階ですが、2社を含む建替組合は実質的にゼロ回答。過去の例を見ても、例外が許されている指針になっている以上、よほどのことがない限り、このまま計画が進められる可能性が高い状況です。
このまま進められるとすると、今年12月から解体工事を開始、2019年12月に新しいマンションが竣工する予定です。
関連リンク
- 「千里津雲台A分譲住宅マンション建替え事業」参加組合員として事業参画 – 東急不動産
- HELP 千里ニュータウンを守って! – 反対する住民によるページ
- 大規模開発事業構想の経過書 (仮称)千里津雲台A分譲住宅建替え事業 – 吹田市役所
- 千里ニュータウンのまちづくり指針 [PDF] – 吹田市役所
6件のフィードバック
再意見書が出ましたが、またもめています。
http://www.city.suita.osaka.jp/home/soshiki/div-toshikeikaku/kaihatsushinsa/005084/_80376/_83603.html
転出数は53件です。
反対運動するのが、遅すぎます。意見書を提出して努力されているのは評価しますが、建て替えの動きに無関心すぎましたね。残念です。
反対運動やめてください。みっともない。合法的な建築物が建設されるにも関わらず文句を言うとは人間性をうたがいますわ容積率200パーセントがきにいらないなら、そちらも建てかえて200パーセントにすればいいじゃないですか。安く買って、高く売る。資本主義の基本ですね。戻って来る、人数なんてどうでもいいですよ。高く売れればね。
合法的だから儲かりさえすればよい、それについて、アンチテーゼを示したい。さらに言うなら資本主義経済に異議あり
利益最優先社会が嫌いだ。公務員のように社会主義を目指すべきである。のんびりと人生を楽しむ。そうすると心が豊かになる。相手のこともかんがえられる。私はそんな世の中になってもらいたい。国民総公務員。ただし国はつぶれるけどね。破壊の後にはユートピアがあらわれる。
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