吹田市の監査委員は、10月18日、吹田市のイメージキャラクター「すいたん」が不適切に使用されている状況の改善を怠っているとした住民監査請求と、その監査結果を公表しました。
吹田市議が、自身のYouTubeで、すいたんに酷似したキャラクターを使用していることは、市が定めた使用要領に沿っておらず、市の許可も得ていないため、著作権を侵害していると認定。吹田市が行った、是正のための対応も不適切だったと指摘しました。
監査委員の判断は、まとめると次の通りです。
- 市議の動画に使用されているキャラクターは、「すいたん」の二次創作物である
- 動画では、特定の政治、思想等を支持若しくは批判等をするような使用がなされているが、それは使用要領で認められない
- 市議の用途は、著作権を侵害している
- 吹田市は、二次創作ガイドラインを設けたことに関連して、使用停止を求められないとしていたが、それは誤りである
- 吹田市は、著作権法に基づいて、使用の停止を求めることができる
- 動画の公開により、吹田市に財政上の損害が生じているとは言えないため、監査請求としては棄却する
今回の公表は、今年8月に提出された住民監査請求によるものです。住民監査請求とは、都道府県や市町村の財政上の不適切な対応があるときに、行政から独立した立場の監査委員に対し、監査を求め、適切な処置を取るように請求できることです。
今回の請求は、自民党の藤木栄亮市議のYouTubeチャンネルに掲載されている動画に、「すいたん」あるいは「すいたん」に酷似したキャラクターが登場しているが、それは著作権を侵害しており、デザイン使用要領で禁止された用途であるにも関わらず、吹田市長は使用の停止を求めていないというものです。
市議のYouTubeチャンネルには、10月20日現在も該当する動画が複数掲載されており、例えば下記のようなシーンも見受けられます。
すいたんの仕様要領では、下記のような記載がありますが、それに反した使用がなされています。
- 特定の政治、思想、宗教等を支援、支持、推薦、公認、賛同、助長、承認もしくは批判等をする及びそのような誤解を与えるおそれがあるものの場合やそのようなメッセージを発信する場合は、承認しない
- 動画で使用する場合は、すいたんに発声させない
- すいたんの図柄として定められたデザイン及び色彩(指定色又は単色)を正しく使用する
- すいたんに台詞をつける場合は、別に定める文案から使用する
市議は、「すいたん」ではなく、「すいたん」をパロディした二次創作であると説明しているとのことです。請求では、パロディは風刺や揶揄の手法として使われるために容認されるものであり、市議が吹田市を風刺、揶揄していることを公言するようなものであり、容認できないとしていました。
また、すいたんの使用に関しては、二次創作ガイドラインが後に策定されています。吹田市は、策定前につくられたものに対して、このガイドラインに沿った対応はできないと判断したようですが、対応が不十分と主張していました。
監査委員は、この請求内容を、おおむね認定しました。ただ、住民監査請求が財政に影響を与えなければ認められないため、請求は棄却するという結論になっています。
今回の住民監査請求の結果は、吹田市のサイトに掲載されていますが、朝日新聞が詳しい記事を配信しています。記事では、その後の対応が紹介されています。
市は「市民の声を受けた」として8月、二次創作について、特定の政治や思想の支持や批判などを禁じるガイドラインを出した。ただ、市議の動画を含む過去の二次創作は「対象にしない」としていた。
監査結果では、市議の動画を「著作権がある市の許諾を得ずに行われたすいたんの二次創作物の使用で、著作権を侵害している」と指摘。市に対しても「二次創作は市の権利で、侵害された際に動画の削除または修正のお願いしかできないと判断したのは不適切。使用の停止を求めることはできる」とした。
市の担当者は取材に対し「内容を精査し、今後の対応を検討したい」と話した。市議には9月以降、直接取材を複数回試みるなどしたが、動画を作った経緯や理由について明確な答えは得られていない。
市議が地元ゆるキャラの「著作権侵害」 政治利用も 監査委員指摘(朝日新聞)
今月は、吹田市議のニュースが多く、別の公明党の市議は、市役所の駐車場で当て逃げをしたとして、党の役職を降りています。(追記:10月20日に議員辞職しました。)
2名の市議は、いずれも議長経験者のベテラン。市民の代表の中の代表のような方々が、立て続けに問題視されている10月です。