吹田の各地で言い伝えられてきた民話をまとめた本「ききがき 大阪北摂 すいたの民話」が発売されました。1980年代に「市報すいた」に掲載されていたものをもとにして、解説を追加して書籍化されました。
民話のもともとの筆者は阪本一房さん(2001年に81歳で死去)。吹田市出身の人形劇人だった方です。吹田市出口町にあやつり人形の小劇場「出口座」を設け、高浜神社(高浜町)に伝わる民話などをモチーフにした人形劇も上演していました。
収録されているのは40話。鎌倉時代の話から戦争や明治維新の話まで、幅広時代の民話が含まれています。
例えば「吹田殿」。本の紹介文によると「鎌倉時代。源頼朝の姪を夫人に迎えた御公家さん・西園寺公経が作った景勝地吹田殿は金閣寺、平等院、四天王寺といった、当時の名勝と並び称せられるもの」だったようです。いまの神崎川沿いにあったと言われています。
今回の出版にあたり、吹田歴史文化まちづくりセンター「浜屋敷」(高浜町)の管理を担うNPO「吹田歴史文化まちづくり協会」が新たに解説を作成しました。ゆかりの場所がわかる地図も掲載されており、物語として読むだけではなく、吹田を知るという楽しみ方ができるようになっています。
タイトルに地名が入っているだけでも、長柄、佐井(佐井寺)、山田、釈迦ヶ池と、現在の吹田市域のいろいろな場所にまつわる話が収録されています。
本の発売は5月末でした。店舗で在庫されている書店は限られているようですが、通販ではおおむね取り扱われています。
「ききがき 大阪北摂 すいたの民話」を買う
また、「すいたの民話」に収録されている民話の一部は、浜屋敷のYouTubeチャンネルで聞くことができます。40年の時を経て見直されている民話は、2021年から動画を制作してきたのが先行。語り手は「おはよう朝日です」のニュースを担当するフリーアナウンサーの野村朋未さんを起用しています。本を手に取る前にいくつか聞いてみるのも良いかもしれません。
参考
- 人形劇に捧げた情熱 坂本一房さん特別展開催 大阪・吹田市で – 産経新聞
- 開館30周年記念 令和4年度(2022年度)春季特別展 出口座と阪本一房(いっぽう) -現代人形劇の継承と発展- – 吹田市立博物館
- 吹田歴史文化まちづくりセンター(浜屋敷)
- かんさいナウ:「ききがき 大阪北摂 すいたの民話」 自分たちの町の歴史、知るきっかけに 40話収録し出版 大阪・吹田 | 毎日新聞
- 郷土の歴史に関心をもってもらいたい「ききがき吹田の民話」 – 大阪日日新聞