新御堂筋の側道を走っていたり、北大阪急行に乗っていると、江坂駅と緑地公園駅の間に「阪急」と書かれた倉庫のような建物が見えるのをご存じの方は多いと思います。その土地で「(仮称)ニトリ江坂店」の建設が計画されています。
阪急百貨店の江坂商品センターだった建物ですが、その敷地の一部で「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズの家具・インテリア用品大手のニトリが店舗建物の新築工事を届け出ました。
地図ではこちらです。住所は吹田市江坂町4丁目。江坂といっても、名神の北側で、隣には新御堂ゴルフセンターがあります。
長年、阪急百貨店の江坂商品センターとして使用されていましたが、昨年阪急阪神不動産に売却されました。江坂商品センターの機能は、大阪市福島区に新設された「阪急百貨店 淀川ロジスティクスセンター」に昨年移転しています。現状、グループで食料品の配達を手掛ける阪急キッチンエールの拠点になっていますが、大部分は使用を終了したと思われます。
新御堂筋の側道からみた旧江坂商品センターのGoogleストリートビューです。百貨店のロゴがあるものの、完全に倉庫です。
江坂商品センターを含むグループの物流・配送業務は、もともとグループ会社だった江坂運輸が担っていましたが、物流大手のセンコーに売却されました。会社は残っており、現在も阪急百貨店の業務を請け負っていますが、江坂運輸なのに江坂は拠点ではなくなっています。
ニトリの届出によると、敷地面積は6,659平方メートル、3階建ての建物が1棟建設されます。商品センターの敷地のうち、新御堂筋側の半分弱を使用するようです。
敷地や建物の大きさは、モノレール豊川駅近くの「茨木北店」(茨木市西豊川町)と同程度になると思います。西方向で最寄りになる「豊中三国店」(豊中市神州町)はかなり大きい店舗なのでそれよりは小ぶりです。
一方、予定地からすぐ近くに「緑地公園店」があります。こちらは緑地公園駅から北に500メートルほどの阪急オアシス千里山竹園店(吹田市千里山竹園1丁目)の1フロアにあります。(仮称)江坂店は、緑地公園店が移転する形でオープンするのかもしれません。
ちなみに、阪急百貨店、阪急オアシスは、阪急百貨店と阪神百貨店が合併した「エイチ・ツー・オー リテイリング」のグループで、阪急阪神不動産は、阪急電鉄と阪神電鉄が合併した「阪急阪神ホールディングス」のグループ会社です。2社は同じ起源を持ちますが、親子会社というよりは兄弟会社という関係が強く、阪急阪神ホールディングスがエイチツーオーの約20%の株式を持った持分法適用関連会社という関係になっています。
江坂商品センターの売却は、阪急どうしでの取引というのが後にわかりましたが、当初は「エイチツーオーを関連会社とする会社の子会社」という遠回しな言い方で発表されました。グループ内であれば「商品センターの閉鎖と転用」と言えば良いだけなので、「仲は良いけれど独立・上場している」ということを踏まえた、慎重な対応が垣間見えます。
2グループの関係としては、エイチツーオーがグループで運営する「阪急うめだ本店」は、阪急阪神ホールディングスが建設した「大阪梅田ツインタワーズ・ノース」(旧梅田阪急ビル)に入居するような関係です。千里中央では千里阪急とセルシーの再開発が話題になりますが、どちらもエイチツーオーのもの。西宮市の大型商業施設「阪急西宮ガーデンズ」と比較されることがありますが、こちらは阪急阪神ホールディングスが運営しており、「阪急千里ガーデンズ」になる可能性は低いものと思います。
話が逸れましたが、阪急阪神不動産が取得した「阪急百貨店江坂商品センター」は、およそ半分がニトリになるという計画が公表されました。公表されたのは建設工事の計画段階でのものであり、店舗が具体化するのはまだまだ先の話です。
また、残りの半分についてはまだ公表されていません。店舗なのか、業務系なのか、はたまたマンションなのか。公表されれば、ご紹介していきます。