吹田操車場跡地の再開発の一環で、東京にある国立の「健康・栄養研究所」の移転を大阪府知事が厚生労働大臣に要望しました。政府が検討する政府機関の地方移転の一環で、国立循環器病研究センターの移転先の近くにこの研究所も移転してもらいたい考えです。
おさらい「操車場跡地」の再開発って?
吹田市と摂津市にまたがる操車場跡地は、国立循環器病研究センターと市立吹田市民病院の移転が決定、全体として「北大阪健康医療都市」(健都/けんと)と名付けて開発を進めています。
少し前に、マンション計画で紹介した地図(下記)の中に、「大学・企業の誘致拠点」というのがありました。この場所に、健康・栄養研究所を誘致します。
国立健康栄養研究所とは?
健康・栄養研究所は1920年に設立され、東京都新宿区の早稲田大学の近くにあります。現在は、独立行政法人の統合で「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所」の1つの組織になっています。現在、地方が要望している政府機関の地方移転の中では、組織全体の移転が検討されている数少ない機関の1つです。職員数は、常勤・非常勤あわせて100人ほどです。
操車場にまだ土地あるの?
誘致先となる場所は、操車場跡地に隣接する「吹田市正雀下水処理場」の跡地です。1962年に千里ニュータウンの下水を処理するために設けられましたが、操車場跡地と合わせて再開発する方針となり、大阪府の施設に機能が移されました。吹田市の施設でしたが、摂津市域になり、住所は摂津市千里丘です。
この場所は、現在「健都イノベーションパーク」と名付けて、医療や健康に関する研究機関や企業のオフィスを誘致しようとしています。吹田市や摂津市は、国立循環器病研究センターを中心とした医療に関する技術や産業の拠点「医療クラスター」の形成を目指しています。
研究機関や企業を集めることはできるのか?
大阪府内では、医療に関する研究機関を集積させる計画が茨木市と箕面市にまたがる彩都(国際文化公園都市)にありました。実際、今回誘致されている研究所と統合した「医薬基盤研究所」や製薬関係の企業が立地しています。ただ、武田薬品工業の研究所誘致が失敗に終わり、大規模な研究機関や企業の集積はできず、現在は大規模物流施設の建設が目立っています。資生堂の工場建設が最近ニュースになりましたが、研究拠点は横浜につくられることになっています。
彩都で完了できなかった医療の拠点を、この岸部・千里丘エリアで実現できるのか注目です。
関連リンク
- 健康・栄養研の移転を要望 大阪府知事、塩崎厚労相に – 朝日新聞
- 国立健康・栄養研究所 – 公式サイト