今月2日、東大阪市で交通事故に遭った男性が大阪府内の5つの救命救急センターに受け入れを拒否され、吹田市の済生会千里病院千里救命救急センターに運び込まれました。残念ながら男性は、事故から1時間後になくなりましたが、年始でどの病院も診察していないときに受け入れることができた千里救命救急センターとはどのような施設なのでしょうか。そもそも救命救急センターとは何なのか、近くにあって詳しく走らない高度医療施設について解説します。
「救命救急センター」は、生命の危機に瀕した重症患者の救命を目的として、24時間体制で診療を受け付ける医療施設です。全国に202か所、大阪府内には11か所あります。三次救急医療施設と呼ばれ、救急隊によって重症と判断された患者を受け入れます。三次救急とは患者の重症度の分類で、一次救急(軽症)、二次救急(中等症)、三次救急(重症)の最も危険度が高いものです。そのため、ちょっとしたけがで救命救急センターを訪れても、通常は診療は受けられません。これは、重症度によらず、すべての患者を受け入れて病院内で適切に対応するアメリカ型の救急医療(ER)と大きく異なる点です。最近では、すべての患者を受け入れることを前提とした「新型救命救急センター」も登場しています。
さて、千里救命救急センターは吹田市津雲台の阪急南千里駅前にある救命救急センターです。長らく「大阪府立」でしたが、2006年に併設の済生会千里病院を運営する大阪府済生会に移管されました。吹田にはもう1か所、大阪大学医学部附属病院(阪大病院)に高度救命救急センターがあります。「高度-」は、やけど、指肢切断、急性中毒など特殊な救急患者も対応できる救命救急センターで、全国に21か所、大阪府には阪大のほか、関西医科大学附属滝井病院(守口市)にあります。
千里救命救急センターや阪大病院高度救命救急センターでは、これまでに説明したように生命の危機に瀕した重症患者を受け入れます。例えば、阪神・淡路大震災、池田小事件、福知山線脱線事故、エキスポランドのコースター脱輪事故などの救急患者が搬送されています。また、千里救命救急センターはドクターカーを保有しています。119番を受ける救急指令からの要請により出動し、現場で医師が処置する体制が整っています。出動回数は1ヶ月に150回に上ります。
吹田市には、救命救急センター以外の医療施設として、阪大病院や国立循環器病センターがあります。両病院は、高度な先端医療行為が必要な患者に対応できる特定機能病院の認定を受けており、移植手術や心臓病治療などの報道で有名です。どうせ診察をうけるならこのような病院にしたいと考えたくなりますが、紹介状がない場合に追加料金が必要になっています。
このように、吹田には全国的、世界的に有名な医療施設が集まっています。お世話にならないに越したことはありませんが、もしものときを考えると、吹田は安心できる街といえるかもしれません。
関連リンク
スイタウェブ ガイドブック 病院・診療所情報
済生会千里病院千里救命救急センター
大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター