「成年後見制度で失職は違憲」元臨時職員が吹田市を提訴


吹田市の元臨時職員の塩田和人さん(49)が吹田市を提訴しました。

知的障害を抱える塩田さんは、唯一の家族だった父ががんで余命宣告をされたことをきっかけに、成年後見制度を使い高度な判断を手助けする保佐人を付けたところ、地方公務員法の規定により公務員資格を失いました。吹田市は、それを理由に塩田さんの雇用の更新を行わなかった…と多くのニュースで報じられているのですが、もう少し経緯はあったようです。

産経新聞が詳しいので紹介します。

成年後見利用で公務員失職は「違憲」 元大阪府吹田市臨時職員が提訴 – 産経新聞

成年後見制度で後見人や保佐人が付くと公務員になれないとする地方公務員法の規定は、法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして、知的障害者で元大阪府吹田市臨時職員、塩田和人さん(49)が24日、市を相手取り、職員としての地位確認や約950万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

訴状によると、塩田さんは平成18年6月に臨時職員(1年更新)として採用され、データ入力業務などに従事。ところが22年に唯一の家族だった父親=死亡=ががんで余命宣告を受けたため、大阪家裁の審判を経て司法書士の保佐人を付けたところ、23年5月末に更新が認められず失職した。

塩田さんはその後、保佐人を補助人に変更する申し立てが家裁で認められて復職。しかし24年5月末、市が採用の更新を拒んだため、再び職を失った。

塩田さん側は、成年後見制度の利用はそもそも市側が勧めたのに、職を失うことになる地公法の規定を説明しなかったと主張。規定は法の下の平等を定めた憲法のほか、障害者の社会参加を促す障害者権利条約に違反するとも訴えている。

同制度をめぐっては東京地裁が25年、後見人が付くと選挙権を失うとした旧公職選挙法の規定を違憲・無効と判断し、法改正された。

成年後見制度 知的障害や認知症などで判断能力が不十分な人が、財産管理や契約行為で不利益を被らないよう支援する制度。平成12年に導入された。本人らから申し立てを受けた家裁が、本人の判断能力から保護の必要性の高い順に「後見人」「保佐人」「補助人」として親族や司法書士らを選任する。後見人と保佐人が付いた場合、公務員や医師などの地位は失われる。

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